最近読んだ本

  • 2018.12.01 Saturday
  • 07:11

・時代劇は死なず!:京都太秦の「職人」たち 完全版 /春日 太一 ★★★★★
・バースデイ・ガール/村上 春樹 ★★★★
・未来/湊 かなえ ★★★☆


◆年末進行その1。早川書房主催の「ミステリが読みたい! 2019年版」が発表になってた。
残念ながらと言うかいつも通り既読はなし。「読みたい本のリスト」にはあげて、1位くらいのものは読みたいものだ。

ミステリが読みたい! 2019年版/ランキング結果発表 http://www.hayakawa-online.co.jp/new/2018-11-30-140540.html

◆「時代劇は死なず!:京都太秦の「職人」たち 完全版 /春日 太一」は興奮の一冊。

昔は映画全盛で中心は時代劇だった。それが映画が衰退、時代劇もメインステージから降ろされていきテレビに活躍の場を移す。栄枯盛衰を膨大な資料とインタビューと愛情と分析力でまとめている。

時代劇は全部東映が作っているとばかり思っていたレベルなので新鮮な内容だった。

「銭形平次」「座頭市」「必殺シリーズ」「木枯し紋次郎」あたりを興味深く見ていた人には面白いのではないか。本編よりも撮影の裏話のほうが面白い。

「座頭市」「必殺シリーズ」あたりの映像美がワタシは好きだったが、その裏では徹底したこだわりと職人芸があった。

例えば、石畳は普通は軽いプラスチックのものを敷いていたが、雨が石畳にあたって跳ねるシーンを撮るのにそれでは物足りないと本物の石畳を持ってこらせる。

そんなものないとなると、どこからも剥がして持ってきて、撮影して返すなんてことをしていた。

著者の春日太一さんは、これを書いた時にはまだ30歳台。すごい情熱で昔のものを活字にしている。今でも週刊誌で俳優のインタビューなど担当している。この人の本は全部読みたい。

◆「バースデイ・ガール/村上春樹」は、今どき村上春樹の新刊?と思ったら、誕生日にまつわるアンソロジーを作ろうとして、量が足りないと書いた短編をイラストをつけて一冊の本にしたもの。新刊ではある。

村上春樹の比喩が大好きだ。例えばこんなもの。
『雰囲気はいかにもひやりとして硬く、夜の海に浮かべておいたら、船がぶつかって沈んでしまいそうだ。』
『年老いていく独身男につきもののある種の匂いが、彼のまわりにひっそりと漂っていた。咳止めドロップと新聞紙をしばらく一緒に引き出しに入れておいたような匂いだ。』

◆「未来/湊 かなえ」は新刊。
最近、いじめがテーマのものばかり読んでいるので、またかと思う。今回は生理を始末した汚物を教壇の上に置かれてしまう。ポーチを隠されて、汚物をポケットに入れていたら臭くなって、体臭恐怖で不登校となる。よく考えるものだ。

近親相姦に、売春に、AV出演の強制、放火、DVとイヤミスの女王とは言え、これだけ人間の悪意を羅列して、つらい話のほうに引っ張り込まれるので読むのがしんどくなった。

最近読んだ本

  • 2018.11.12 Monday
  • 15:28

・おらおらでひとりいぐも/若竹 千佐    ★★★★☆
・かがみの孤城/辻村 深月         ★★★★☆
・かみつく二人/三谷幸喜 清水ミチコ    ★★★★
・ベスト本格ミステリ 2018/探偵小説研究会 ★★★☆
・大人の汁めしかけめし/市瀬悦子
・windows10は初期設定で使うな!日経BPパ ソコンベストムック

◆「おらおらでひとりいぐも/若竹 千佐」は第158回芥川賞受賞作。作者が63歳ということで話題になった。

先入観として老人向け作家講座でお勉強して、上品で繊細な文章を想像していたら全然違った。文章の書き方なんて無視して、太字でグイグイと書き込んでいく自由奔放でそれでいて繊細な文章に圧倒される。だいたい東北弁で書くなんてのが作家講座の先生がいたら反対するところでしょう。

内容は63歳でないと書けないものだし、読み手も同年代のほうが理解が深いのではないかと思う。

これは賞をとってもおかしくない。

『自分のような人間、容易に人と打ち解けられず孤立した人間が、それでも何とか前を向いていられるのは、自分の心を友とする、心の発見があるからである。桃子さんはそう思っている。自分はひとりだけれどひとりではない、大勢の人間が自分の中に同居していて、さまざまに考えているのだという夢想は桃子さんを気強くもさせた。』

『愛はくせもの 愛どいうやつは自己放棄を促す おまげにそれを美徳と教え込む 誰に 女に 
貴方好みの女になりたい
着てはもらえぬセーターを寒さこらえて編んでます
何とかならないのが、この歌詞。この自己卑下。奴隷根性

でいじなのは愛よりも自由だ、自立だ。いいかげん愛にひざまずくのは止めねばわがねんだ。愛を美化したらわがのねだ。すぐにからめとられる
一に自由。三、四がなくて五に愛だ。それぐらいのもんだ』

『体が引きちぎられるような悲しみがあるのだということを知らなかった。それでも悲しみと言い、悲しみを知っていると当たり前のように思っていたのだ。分かっていると思っていたことは頭で考えた紙のように薄っぺらな理解だった。もう今までの自分では信用できない。おらの思っても見ながった世界があるそごさ、行ってみって。おら。おら、いぐも。おらおらで、ひとりでいぐも。』

◆「かがみの孤城/辻村 深月」は、今年の本屋大賞の作品。ミーハーで賞をとった作品ばかり読んでいるようだが、その通りなのだ。ちなみにこの本は、「ダ・ヴィンチブックオブザイヤ-2017 1位」「週刊文春ミステリーベスト10 2017 10位」「このミス2017 8位」「北上次郎2017ベスト2位」でもある。止めに本屋大賞。そう言われると読みたくなるでしょう。

ワタシの贔屓の「盤上の向日葵/柚月 裕子」を2位に押しやっての大賞受賞ということで、どんだけのもんか、つまらんかったら許さんぞ、と鼻息荒く読み始めたけど、まぁやむを得ないとナットクした。

鏡をすり抜けて不登校児童が集う城が舞台。ファンタジーであり青春小説であり、SFであり、最後丁寧に伏線を回収するのでミステリでもある。辻村深月すごし。

◆「かみつく二人/三谷幸喜 清水ミチコ」は2006年のFM放送を文字にしたもので、何冊か出ていて、これが面白くてしょうがない。

お互いを小馬鹿にしている感じがたまらないんですね。

三谷「僕、よくこぼすんですよ。」
清水「よくこぼすね。」
三谷「なんでだろう?やっばり、母性本能をくすぐるタイプだからかな。」
清水「くすぐられるというよりは、殴りたくなるタイプですけど。」

「嫌われる勇気:自己啓発の源流「アドラー」の教え」

  • 2018.11.11 Sunday
  • 04:48

少し前に読んだ「嫌われる勇気:自己啓発の源流「アドラー」の教え/岸見 一郎」を少しまとめてみた。
アドラー心理学というけど、人生の生き方に関する啓発の本みたいだ。

アドラーの心理学ではいくつかのファクターがあって、なるほどと思うもの、思うけど実行は困難なもの、理解できないものと分かれる。

◆基本にあるのは人間の思考は過去の「原因」ではなく、「目的」に沿ったものだと捉える。
『怒る原因があって怒るんじゃなくて、大声を出すという目的をかなえるために怒りの感情を作り上げる。相手を屈服させる手段として怒りという感情を捏造する。』
『今のあなたが不幸なのは自らの手で「不幸であること」を選んだからなのです。』
『短所ばかりが目についてしまうのは、あなたが「自分を好きにならないでおこう」と、決心しているからです』。
『問題は能力ではなく、勇気なのだ』

※幸福になるためには例えば勉強しないといけないが、それは面倒なので不幸でもいいや、自分を好きにならなくてもいいという道を選択している。これがアドラー心理学の入口でもって一番飲み込みにくい。

◆劣等感について
『健全な劣等感とは、他者との比較のなかで生まれるのではなく、「理想の自分」との比較から生まれるものです』
『大切なのはなにが与えられているかではなく、与えられたものをどう使うかである。』
『もしも自慢する人がいるとすれば、それは劣等感を感じているからにすぎない。』
※これはそのとおりだと思うのだけど、実践できるかと言うとなかなか難しいところがある。

◆自分に正直に生きる。
『われわれは「他者の期待を満たすために生きているのではない」。他者からの評価ばかりを気にしていると、最終的には他者の人生を生きることになります。』
『他者の期待を満たすように生きること、そして自分の人生を他人任せにすること。これは、自分に嘘をつき、周囲の人々に対しても嘘をつき続ける生き方なのです。』
※そのためには嫌われてもいとわないことだ ということで、これが本のタイトルになるほど重要なこと。嫌われる勇気を持て!自由と自立を獲得にするにはこれしかない。分かるのだけどなかなか難しそうなことではある。特に日本人は。

◆「課題の分離」「他者の課題を切り捨てよ」
※これもアドラー心理学の基本。これは誰の課題かを考えて、他者の課題と判断したら切り捨てる。
子どもが勉強しないからといって、それは子どもの課題であると考える。子どもに対して支援は必要でも「勉強しなさい」と言うことはおかしいということになる。これを実行すると人生はシンプルになる。

◆人生に目的を持たない。今を生きる。
『人生とは、いまこの瞬間をくるくるとダンスするように生きる、連続する刹那なのです。踊っているのですから、その場にとどまることはありません。しかし、目的地は存在しないのです。』
『人生全体にうすぼんやりとした光を当てているからこそ、過去や未来が見えてしまう。しかし、もしも「いま、ここ」に強烈なスポットライトを当てていたら、過去も未来も見えなくなるでしょう。』
『「いま、ここ」にスポットライトを当てるというのは、いまできることを真剣かつ丁寧にやっていくことです。』
※人生は目的に向かって生きるものとすると、目的を果たすまでは仮の自分でしかなく目的を果たせないと人生の意味を失う。人に勝とうとすると負けた時、悪い意味で特別な存在になろうとする安直な優越性を追求したりする。今を真剣かつ丁寧にという言葉は同じように思っていることだ。

その上で、幸福感とは「他者への貢献」にあるとしている。

根底にあるのは、自立と信念と自分に対する厳しさと理性的な生き方ですね。

アドラーの考え方に共鳴したとしても自分を変えるには生きてきた年齢の半分はかかるとあって、ワタシの場合、30数年かかることになる。もう間に合いませんね。
とはいえ教えられることも多く、他のアドラー本を読んで少しでも人生のヒントを得たいですね。

最近読んだ本

  • 2018.10.29 Monday
  • 20:59

最近読んだ本

・嫌われる勇気:自己啓発の源流「アドラー」の教え/岸見一郎 ★★★★★
・ぼくの伯父さん:単行本未収録エッセイ集/伊丹十三     ★★★★★
・きれいなシワの作り方:淑女の思春期病/村田沙耶香     ★★★★☆
・むかつく二人/三谷幸喜 清水ミチコ            ★★★★☆
・そこでだ、若旦那!/立川談四楼               ★★★★

 

どの本も面白かったなぁ。

 

「嫌われる勇気:自己啓発の源流「アドラー」の教え/岸見一郎」はアドラー心理学の入門本。初めて読む。心理学というより生き方の本ですね。疑問が出てくる内容ということで対話の形にしているのがよかった。
しっくりこないところもあるけど基本的には納得した。アドラー本を続けて読んでみようと思う。気が向いたら別に書いてみます。

 

伊丹十三には夢中だった時期がある。まずエッセイに夢中になり、それから映画、雑誌、講演も聞きに行った。一番の魅力はとにかく面白がるという姿勢ですかね。ずいぶん影響を受けてると思う。

「ぼくの伯父さん:単行本未収録エッセイ集/伊丹十三」は彼に触れる最後の作品となった。読み始めるとすぐに伊丹十三が立ち上がってきて、あー、こんなことを書く人は彼亡き後誰もいなかったと思いながら読み進めた。年譜を見ると64歳で亡くなっている。ワタシより年下なのか。

 

「きれいなシワの作り方:淑女の思春期病/村田沙耶香」は「コンビニ人間」で芥川賞をとった著者のエッセイ。
執筆の時は36歳くらい。その年代ならではのあるあるネタで、若いとは言えなくなった年代の真実と自虐と苛立ちとユーモアが面白い。村田沙耶香のエッセイは今後も全部読まねば。あっ、小説も読むつもりだ。

【本】看る力 アガワ流介護入門/阿川佐和子 大塚宣夫

  • 2018.10.16 Tuesday
  • 06:57

「看る力 アガワ流介護入門/阿川佐和子 大塚宣夫」は、大塚宣夫さんという老人向けの病院などを経営している人との対談集。対談はお互いを褒め合うなれあいになりがちだが−これもそういう面がなくはないが−、いろんなところで付箋が立って参考になった。
その付箋箇所をちょっと抜粋する。

◆『年を取られた方がよく、「お酒も大して飲まなくなったし、外食もしなくなったし、観劇とか旅行にも行かなくなったから、金のかかることは大してないよ」と言われますね。でも、老後に体が動かなくなったときこそ、お金がかかるんだってことを自覚しておいたほうがいい。』

◆『問題は、七十五歳からですよ。七十五歳を過ぎたら、じっとしているだけで筋肉は細り、関節は固くなり、バランスを取る能力もガタッと落ちていく。

自分の体に「疲れてるか?」「体調はどうだ?」と聞いてごらんなさい。「疲れている、体調もイマイチだ。ちょっと休ませてくれ」と言う。そこで「そうか」と体の声を聞いて一日休ませてやるとしましょう。二日目に「もう回復したかな」と体に聞くと、「まだ疲れが残っている。もう少し休ませて欲しい」というので従ったとする。ところが三日目になるともう体力が落ちていて、動く気力もなくなってるんですよ。

若い頃は体を休ませ、体調を良く保つことで気力充実といった感じでしたが、七十五歳を過ぎたら、体のいうこと聞いて楽させたらもう終わり。体が何と言おうと、気力に体力を引っ張らせることこそが大切ですよ。予定があるならとにかく出かけましょう。そうすれば、まだ体のほうはついてきますから。』

◆『認知症が始まったからといって、急激に身の回りのことを周囲が手助けしすぎると、さらに症状は進む。一人でまがりなににもできるうちは、そのほうがお互いにいい。

 お風呂に毎日入らなくたって、ご飯も一日三食食べなくたって、部屋が汚くたって、夜寝なくて朝起きれなくたっていいんです。そんなの、生きることにおいてなんの障害にもならない』

◆『認知症の方は結局、自分の頭の中に残っている記憶と照合しながら、いま起きてることに対して最適の行動をとろうとしていますから、本人としては、自分で考えたうえでの行動や言葉なんです。だから、いちいち家族や子どもから叱責される理由がわからない』

◆『遠藤周作さんから生前、こんな話を聞きました。入院しているダンナさんがだんだんと弱ってきて記憶が曖昧になって、最後まで覚えている言葉は、奥さんかお嬢さんの名前。ところが、反対に奥さんが弱って記憶が薄らいでいった場合、最初に忘れるのが、亭主の名前。』

◆『車を運転しながらラジオを聴いていたら、「老人には三種類ある」って話をしていたんですね。1つめは、「振り返ってみると、俺の人生ろくなことはなかった。あれもダメだった、これもできなかった」と後悔して後悔して、自分を責め立てて不機嫌っていう人。次は「俺がこんな人生だったのはあいつのせいだ、こいつのせいだ」と、他人に対する恨みつらみで不機嫌な人。最後は、「今からだってこんなに楽しみがある」と、過去のことはさておき今後を考えて不機嫌じゃない人』

 

「盤上の向日葵/柚月 裕子」が面白い。

  • 2018.10.06 Saturday
  • 08:26

最近読んだ本

・盤上の向日葵/柚月 裕子           ★★★★☆
・たゆたえども沈まず/原田マハ         ★★★★☆
・三谷幸喜のありふれた生活(おいしい時間)   ★★★★☆
・看る力/阿川 佐和子             ★★★★☆
・坂の途中の家/角田 光代           ★★★★
・私はあなたの記憶のなかに/角田 光代     ★★★★
・立川志らくまくらコレクション:生きている談志 ★★★★
・マスカレードイブ/東野圭吾          ★★★★
・かるい生活/群 ようこ            ★★★★

 

図書館の予約の順番が重なって、ここ2週間ほどは8冊を借りていた。多い時は一日200頁くらいのペースで読んでいてタイヘンだったけど、どの本も面白くて、嬉しい悲鳴というところ。

 

イチオシは「盤上の向日葵/柚月裕子」。「週刊文春ミステリーベスト10 2017 2位」「このミス2017 9位」「本屋大賞2018年 2位」。「本屋大賞2018年 2位」というのが惜しいですね。
将棋をテーマにしたミステリで、柚月裕子は本を書くにあたって小学生と指してみたら負けたというくらいの実力で、それでよくまぁこんな本が書けるものだと感心する。読み終えて、高い山を麓から見上げて、圧倒されて少し呆然とする感じに似ている。なんと大きなフィクションの山だったのだろうと思う。柚月裕子は「砂の器」を意識して書いたそうだ。「孤狼の血」もそうだけど胡散臭いアウトローを描くのがべらほうにうまい。

 

「たゆたえども沈まず/原田マハ」も面白い。原田マハらしい美術の話で、対象はゴッホ。ゴッホを直接描くとすでに伝記で有名なので視点を変え、彼を支援した弟テオ、テオと親交のあった日本人画商、林忠正、その助手、加納重吉を主人公という構成にしたのがうまいところ。遠近法を文学にも取り入れたというところ。ゴッホのみならず当時の浮世絵人気のフランスの絵画界の様子が活写されていて面白い。
『フィンセントはまるで自画像を描くかのように、糸杉をみつめ、糸杉にみつめられた。絵筆はツバメになって盛んにカンヴァスの上を飛び交った。』

 

「三谷幸喜のありふれた生活(おいしい時間)」は前作14巻が2016/9/20発行で、今回の15巻は2018/7/20と一年空いた。もう出さないのかと心配していたのでまた読めて嬉しい。彼の作品はWOWOWで放送されるので全部見ている。その舞台裏の一年を確認しながら読んでいく。それ以外のものでも面白い。例えばバラエティの出演者を取り上げても鋭い。

 

『今、出川哲朗さんが面白い。彼の凄いところは、例えば、出川さんが役者として、ドラマや映画に出ているところを想像してみると分かる。まったくイメージが湧かない。たとえ武田信玄を大真面目に演じたとしても、僕らはそこに、信玄になりきれずに悪戦苦闘する「出川哲朗」を見ることしかできない。これは凄いことである。なぜなら、こんな人、他にいないから。彼はあくまでもバラエティーの国の住人なのである。そこでしか生きられない。初めて誕生した純正バラエティータレントなのかもしれない。』

 

アキラ100%について『裸だから面白いわけではない。技だってたいしたものではない。彼の魅力は、あのビジュアルにある。とてもそんなことをしそうにない実直なサラリーマン風の横顔。服さえ着ていれば、とても「裸芸人」とは思えない。そもそも彼はなぜ芸人になったのか、最初からこの芸風で行こうと思ったわけではないだろう。全裸で行こうと決意した日のこと、初めてお盆芸を人前で披露した時の緊張。だんだん彼の人生そのものが、壮大な喜劇に思えてくるのだ。』

「竜宮城と七夕さま/浅田 次郎」を読む。

  • 2018.09.05 Wednesday
  • 05:55

最近読んだ本は、

・竜宮城と七夕さま/浅田 次郎 ★★★★
・シャイロックの子供たち/池井戸潤 ★★★★
・月日の残像/山田太一 ★★★★
・古い洋画と新しい邦画と/小林 信彦 ★★★☆

 

「竜宮城と七夕さま/浅田 次郎」はエッセイで、さすが浅田次郎、硬軟交えた蘊蓄のある話が面白い。

中で、昔は虚無僧が家の前でお金をもらうまで尺八を吹いていたという話が印象的。ネットで調べると30年代初頭とあるので28年生まれのワタシにはあるかないかのほんのかすかな記憶だ。小さかったのでそれが、ゆすりたかりの類だったとは知らなかった。

もう一つ、浅田次郎さんは、朝、
『目覚めたとたんに、一日に一度だけ腹筋を活躍させて身を起こし、「よおっし!」と気合を入れて行動を開始する。いったい何が「よおっし!」なのかはわからぬのであるが、ともかく毎日がその一声で始まるのである。』のだそうだ。

浅田次郎さんはワタシより2つ年上。しかし、この本が出されたのが2年前なので、このエッセイが書かれたのはワタシと同じくらいである。なんと元気なんだろうと思う。
ワタシの寝起きはどっこいしょ、やれやれとジワジワと起き上がる。
浅田次郎方式で起き上がれば前のめりで充実した一日は約束されたようなものだ。浅田次郎さんに負けじと朝は心の中で「よおっし!」と叫んでみようと思うが、体というのか気力がついてこない。
しばらくは毎朝浅田次郎さんを思い出すことだろう。

読書生活8月

  • 2018.09.02 Sunday
  • 18:37

8月は12冊を読む。
・一汁一菜でよいという提案/土井善晴    ★★★★☆
・談志が死んだ/立川談四楼    ★★★★
・落語家魂!/柳家 権太楼    ★★★★
・九十歳。何がめでたい/佐藤 愛子    ★★★★
・福家警部補の考察/大倉 崇裕    ★★★★
・天地明察/冲方 丁    ★★★★
・十八番の噺ー落語家が愛でる噺の話/春風亭 昇太 外    ★★★★
・BOOK BAR/杏&大倉眞一郎    ★★★★
・AX/伊坂幸太郎    ★★★★
・杏のふむふむ/杏    ★★★★
・ホンのひととき/中江 有里    ★★★★
・民王/池井戸潤    ★★★
家庭料理の第一人者であった土井勝の次男として生まれフランスに行き、フランス料理を、帰国後は「味吉兆」で日本料理を修業したという洋の東西を問わない料理の達人が到達したのがみそ汁というのが面白い。参考にさせてもらってます。
落語本とエッセイはナマモノで10年たって読んでもあまり面白くないので、なるべく早く読むようにしているので数が多い。「談志が死んだ/立川談四楼」「落語家魂!柳家 権太楼」は読み応えがありました。
 

「日本読書株式会社」

  • 2018.08.22 Wednesday
  • 06:56

ふと、昔、椎名誠さんの小説で「日本読書株式会社」というのがあったのを思い出した。図書館の蔵書検索で調べると同タイトルで「本の雑誌編集部」が出しているものがあったので借りてくる。

「日本読書株式会社」というのは、「本の雑誌」の編集長だった書評家の北上次郎が若い時に夢想したアイデアだ。それを椎名誠が小説にした。

『大学を出て、みんなが働いているのに、こっちは部屋の中で本ばかり読んでいて、ちょっと後ろめたかったころに考えていた夢であった。五階建てのビルがあってね、その最上階の社長室に自分がいて、毎日そこで好きな本を読んでいるだけど、暇になると下に降りていくの。そうやって、たとえば三階のミステリー課によって、今日は何かおいしそうな新刊があるかいって聞くと、課員がたちどろこに教えてくれる。』
という会員制の読書相談会社。ミステリー課以外に児童文学課、自然科学課、時代小説課などの課があり、50人の社員がいる。

それを読んだ当時は、読書時間がなかなかとれず北上さんの気持はよく分かるなぁ自分もその会社に入りたいものだと思ってた。

8:30には席について、読みさしの本を引き出しから取り出し、栞から開くとおもむろに読んでいく。ちょっと義務的、事務的に公務員風な雰囲気で読んでいくんですね。読み終えたら、報告書にまとめる。たまにお茶はするけど、他の課員と雑談したりすることはない。5時になったら、栞を挟んで、引き出しに戻して静かに離席する。なんて会社を想像していた。

退職した今は自由に読書できるわけだから「日本読書株式会社」だってやろうと思えばやれるわけだ。あーあの時憧れていて自由時間が手に入れられてるだけで「幸せだぁ」と思う。

 

今は図書館から7冊を借りて、併読している。読書頁数=映画上映時間数としているので、映画を見る本数が増えるにつれ読書量もあがってる。読書量があがるとその分映画を見る時間が減るということでバランスがとれている。後は図書の予約の関係で増減する。

 

借りた本は借りられる期間14日で割って一日の読書量を決め、朝の時間が「日本読書株式会社」。水曜日が図書館に行く日で、火曜日に読み終える。火曜日に多い時には4冊くらい一斉に読み終えるのは気持ちいいし、水曜日に半数が入れ替わって新しいラインナップで読んでいくのも楽しい。

作家の収入

  • 2018.07.24 Tuesday
  • 04:44

今読んでいる「倒れるときは前のめり/有川 浩」の中に作家の収入についての記述があり興味深い。
『単行本一冊につき定価の10%が著者に入る印税だ。定価1600円の本なら一冊につき160円、かけることの出版部数が作家の収入になる。
初版1万部を刷ってもらえたら作家としては活動がたいへん堅実だと言える。運良く初版1万部の作家になれたとして、一冊につき160万円の稼ぎだ(重版がかかればもっと増えるが、端から重版を当てにするような楽天家は作家を目指さないほうがいい)。そして作家が年間何冊本を書けるかという話である。三冊書けたら相当速いほうだ。すると、かなり順調な作家で年間の収入は480万円ほど。ここから税金や、保険、経費を差っ引くと手取りは400万円を切る。そして作家には昇給もボーナスも福利厚生も失業保険もない。』

 

売れてる本をどうなんだろう。「火花」は240万部も売れたと話題になった。ネットで計算しているサイトがあった。『価格1000円×刷り部数240万×印税10%となり、その額なんと、2億4000万円』。今は文庫も出ていてもっと収入は増えてることだろう。
けれどそれはレアケース、『小説の新刊なんて1万部に届かない本が全体の90%とも95%とも言われている。5000部切ってる本の割合もそうとうなもの。1500円の小説を5000部刷って印税率10%もらう計算をしてみると、たった75万円である。大半の「普通」の作家は、血の滲むような苦労をして1冊の本を書き上げても100万ももらえないのである。』
芸人がブレイクすると莫大な収入を得るが、ほとんどの人は食べていけないというのと作家も同じだ。5000冊も印刷してもらえるとスゴイ作家のように思うが、75万にしかならないんですね。

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