模倣犯(下)宮部みゆき

  • 2010.06.11 Friday
  • 05:46
 いやぁ長かった。上下巻で1400ページ以上、文庫版だと5冊になる。猟奇的連続殺人事件とい うまぁ陰惨な話ではあるが、それでもこれだの分量はいらないだろうと思うが軽々と越えてしまう。

ユニークなのはメインになる主人公がいないことである。普通だと魅力的な刑事が出てぐいぐいひっぱ るとこだけでそのスタイルをとらない。「建築家」とあだ名されている刑事らしき人が出てきて、犯行現場の建物にこだわることで犯人の特徴にせまるなんての は面白いと思ったのだが出番は少ない。
どちらかというと 犯人側の描写がメインとなっている。こうした猟奇的なものに走る心情がよく分った。

山本一力さんが、執筆中は登場人物になりきって書いている。作家が入り込んでなければ読者をひっぱりこむことはできない。というようなことを言っていた。
この小説などは特にそれを感じる。宮部みゆきの登場人物への憑依の仕方は半端ではなく、想像力の翼がキャラのディテイルにどんどん入っていく。それに読者は 引っ張られていくことになる。その巫女的体質が宮部みゆきの魅力なんだと思う。人称を変えほとんどの登場人物になりきりその心情、言動を余すとこなく描写する。
文体はあくまでも平易で、スティーブン・キングのように全部書いてしまうタイプですね。

憑依しつつその登場人物の指揮者としての構成者としての宮部みゆきもいる。犯人の死からその経過を語り、それが誤解であることからさらに話が発展していく。巧みな構成ですね。
タイトルの意味はずっと不明で最後になってバン と出てくる。これだけの大作の最後を飾るにふさわしいインパクトがあったと思う。

『本当のことは、どんなに遠くへ捨てられても、いつかは必ず帰り道を見つけて帰ってくる。』

『人間て、そんなに独創的な生き物じゃないよ。みーんな何かを真似っこして生きてるんだよ』

『誰かに向かって手を広げ、俺がついてるよ、一緒なら大丈夫だよと声をかけた瞬間に、人間は、頼られるに足る存在になるのだ。最初から頼りがいのある人間なんていない。最初から力のある人間なんていない。誰だって、相手を受け止めようと決心したそのときに、そういう人間になるのだ。』

<1999年10月まで『週刊ポスト』に連載され、その後加筆改稿を経て、2001年3月に小学館から単行本(上下巻)が刊行された。のち新潮文庫版(全 5巻)が2005年11月から12月にかけて刊行された。>

スポンサーサイト

  • 2019.09.11 Wednesday
  • 05:46
  • 0
    • -
    • -
    • -
    • -
    コメント
    コメントする








        
    この記事のトラックバックURL
    トラックバック

    PR

    calendar

    S M T W T F S
    1234567
    891011121314
    15161718192021
    22232425262728
    2930     
    << September 2019 >>

    Booklog

    Copied from: ブクログ -

    selected entries

    categories

    archives

    recent comment

    recent trackback

    recommend

    links

    profile

    search this site.

    others

    mobile

    qrcode

    powered

    無料ブログ作成サービス JUGEM